蟹漬関連史料 翻刻(3) 馬渡多蔵書簡 図北08694 22-12067 (明治42年7月17日)

史料本体

「鬼丸北川家資料」
馬渡多蔵書簡 図北08694 22-12067

翻刻文

拝啓。御願申上
候蟹漬ハ特別
御厚配ノ御蔭ニテ、
本日御持出被下、誠ニ
非常ノ御手数奉
掛恐縮ニ不堪候。
早速只今小包
ニ仕立、水町へ送
付。当該品ハ中々
手ニ入ザル昨今ノ時節
ナルヲ、高兄ノ御仁
配ノ御蔭ニテ、漸ク
手ニ入候事情モ申
遺候。本人も高
兄ノ御芳情ハ殊
ニ難有被存候事
ト奉存候。

右、一寸御礼迄。
 已上
七月十七日夜  
   馬渡
石丸君

三木の素人読解

7月14日のお手紙に続くやり取りだと思われます。
早速馬渡氏の手元に届いた蟹漬を、弟・水町氏のもとに転送したこと、そのことへの御礼を篤く伝えている様子です。

注目点はやはり
「当該品ハ中々
手ニ入ザル昨今ノ時節
ナル」
の一文でしょう。
実は馬渡氏がこの時点でおそらく佐賀市内に住んでいることが次のお手紙から推測されるのですが、佐賀に住む馬渡氏から見ても明治42年(1909年) にはすでに蟹漬が希少といって大げさではない認識になっていたことが分かります。
多少のヨイショはあるのかもしれませんが。

所感

気になった点が一つ。
7月14日に依頼した蟹漬が、7月17日にはもう馬渡氏の手元についているという早さです。
一方では希少と言われながら、他方石丸氏にとっては常備しているものないしすぐに手に入るものだった、と考えてよいのだろうと思います。
それにしても友情に厚い石丸氏です。

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