蟹漬関連史料 翻刻(1) 馬渡多蔵書簡 図北15369 22-18742 (明治33年9月24日)

史料本体

「鬼丸北川家資料」
馬渡多蔵書簡 図北15369 22-18742

翻刻文

【封書表】
佐賀県佐賀市赤松町
石丸勝一殿

【封書裏】
東京芝愛宕下町二ノ四
馬渡多蔵

【本文】
拝啓。天候益
御安康御訣栄  
欣然小生方モ一同被
事乍余事御放
念是祈候。陳甚
御頼申上兼候得共、
愚弟水町氏佐賀
蟹漬ケ大好物ニテ是迄
佐賀人ヨリ貰イケル
分トモ、後石井カ尽力ニテ
五◇カニツケ手ニ入候モ、夫
レモ最早食尽シ何卒
貴台ヘ相願候。小包
ニテ御送付被下候趣御頼
申上呉候様本人ノ申
出ニ、不得止右御依頼
申上候間、ブリツキ缶詰
歟茶入レノ丸盒一斤入レ位ノ
量ニ一杯丈ケ御買入、小
包ニテ御送付被下度。届所ハ       
東京麹町区元園町
一丁目四十二番地水町
権三郎方ヘ宛御発送
被下度。届ケ品振代
小包代共、御一報被
下候ヘハ、水町ヨリ直ニ御
送金可申上候間、此
段御申上候。乍◇
御一同様へよろしく被仰
上被下度候。 頓首

九月廿四日夕
   馬渡

~~~~~~~~~~~~~~

石丸君

 侍中

再拝 兼テ奉願候佐賀
段通モ、十日前来月ハ
出来上ル様、兼テ御報知
ニ相接シ、水町モ大ニ乗々
相伝居候間、来月ハ御発
送被下候様、尚御尽力被下
度。又右段通モ届所ハ
前記水町方ヘ宛御発
送被下候様、段通代モ
御申越被下候次第、直ニ
申上可申候也。拝具

三木の素人解説

佐賀市赤松に住む石丸勝一氏と東京都愛宕に住む馬渡多蔵氏のやり取り。
馬渡氏の弟であり東京都麹町に住む水町氏の話題が出てきます。

まずは馬渡さんからの書簡。
蟹漬が大好物であるという水町氏について語る馬渡氏。
佐賀の人から分けてもらったものをすっかり食べきってしまった水町氏のもとに蟹漬を送ってもらえないかと佐賀に住む石丸氏に頼み込んでいるようです。
弟曰くブリキ缶のお茶入れの丸箱に1斤(=約600g?) ほど入れて送って欲しいという依頼のようです。
代金は水町本人から送金しますと。

後半では別件の話題も展開。
これは佐賀緞通という名産織物の話のようです。
お願いしていた緞通がもうじき出来上がるというお知らせに喜んでいる様子が伺えます。

所感

個人で600gの蟹漬ってすごすぎ!
気象庁提供の東京都の過去の気象データによると夏場の最高気温は既に30度を超えるような気候。
9月のやり取りとはいえ長持ちさせることを想定していたとしたら、やはり当時もそれなりの塩分濃度で腐敗に強く作られていたのではないかと想像されます。
もしもその代金が明らかになったらとても面白いですね。

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